4月16日、福岡市や東京証券取引所、福岡証券取引所が主催する『IPO経営人材育成プログラムFUKUOKA』にて、
『最短ルートで上場へ~実例でみるIPO準備を成功に導く組織戦略~』というテーマで登壇させていただきました。
当日は、IPOを目指す企業の経営者やご担当者の皆さまにお集まりいただき、
事業会社時代の上場準備実務の経験やがこれまで上場支援する中で感じてきた“リアルな壁”とその乗り越え方を、できる限り率直にお話しさせていただきました。

今回のセミナーでは、上場までの自社の組織の変遷を解像度高くイメージしてもらうことをGOALとして、
上場までにどのようなことを、いつまでにやらないといけないのか、そのための組織体制はどうしていくか
といった点にフォーカスして、実際の上場プロセスを時系列で振返りながらお話させていただきました。
細かいポイントはいくつもありますが、上場プロセスを振り返って、スケジュール通りに進めることができた組織面での要因を以下の5つに整理しました。
1.期限と状態の明確化
上場のターゲット時期を明確に定め、それを達成するために、どのタスクをいつまでに、どのレベルで終わらせるべきか――この”期限”と“状態”の定義を曖昧にしないことが、プロジェクト全体の推進力につながりました。「なんとなく進んでいる」ではなく、「何ができたら完了か」を常に主幹事証券と共有しながら進めたことは結果的に良かったと思っています。
2.役割と責任と権限の明確化
上場準備は、一般的にプロジェクトチームで進めることが多く、各自の業務と兼務しながら進めていくケースが多々あります。その場合、どうしても“誰がやるのか”が曖昧になりがちです。そのため、プロジェクトの責任者と担当者の線引きをはっきりさせ、役割と責任と権限を明確に定めることで、計画的に進めていくことができると思います。
3.経営陣のコミット
上場準備は実務担当者だけで完結するものではありません。経営者自身が”上場”することにコミットするのはもちろんですが、社長以外の経営陣も同じ温度感で、向き合うことが、全体のスピードを保つ大きな原動力になりました。経営陣が率先垂範してルールを守る姿勢を見せることで全社一丸となって上場という目標に向かって進んでいけるのだと思います。
4.全体最適を優先した意思決
IPO準備中は各部門の事情もあり、個別最適が先行しがちです。例えば、既存社員と新しく入ってくる社員では、スキル、モチベーション、報酬などのギャップがでてきます。ここでどちらの声を優先するべきなのか迷う時もあるかと思いますが、感情に左右されず、「会社としてどうあるべきか」を軸に意思決定を行い、短期的な視点ではんく、より中長期的な視点をもつことが上場後の持続的な成長にも繋がるのだと思います。
5.内部監査の有効活用
内部監査は会社の全ての業務をチェックするための機能です。この内部監査を形式的な“やらされ業務”ではなく、“リスクに気づける仕組み”として活かすことで、計画全体を俯瞰する視点が持てました。特に、課題の早期発見と対処に役立ち、「ギリギリで焦る」事態を未然に防げたと感じています。そのような意味では、上場準備責任者と内部監査業務との相性はとてもよいように思います。業務全体を把握することで、上場審査時のヒアリング対応においても間違いなく役に立ちます。
こうした5つの組織的な取り組みに加えて、もちろん「業績」というファクトがしっかりと支えになっていることが大前提になります。内部管理体制を整えることも大事ですが、そのことによって業績が落ちてしまうということになっては本末転倒です。事業成長を落とさない仕組みづくりと運用が重要となってきます。
セミナーの最後でもお伝えしましたが、
抜け道や近道を探すのではなく、誠実にひとつひとつ積み重ねていくことこそが、
結果として最も確実に、そして最短で上場できる道につながっていくのだと思います。
清く正しく誠実にー
今後も、現場に根ざした実務的な支援を通じて、皆さまの伴走者であり続けたいと思っています。
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